(Story)
A beautiful town with
hills and a harbor
Nagasaki is a city of beautiful hills and harbors, as seen in the Nagasaki dialect word "saruku," which means to stroll around town. Surrounded by mountains and the sea, walking along the narrow alleys and staircases that crisscross the city is an everyday occurrence, and the city has a culture that has lived in a constantly changing, three-dimensional landscape.
坂と港が美しいまち、長崎
長崎には「さるく」という、街をぶらぶら歩くという意味の長崎弁があるように、坂と港が美しい町。山と海に囲われ、縦横無尽に交差する狭い路地や階段を歩くことが、日常に根付いていて、立体的に常に変化する景観の中で生きてきた風土がある。路地にある小さな公園や坂道で、近所の人との世間話に花を咲かせたり、登下校で友達とたわいも無い話で盛り上がったり。人とのすれ違いや、匂いや音にゆるやかな隣人を感じたり。長崎の街並みには、名もない小さな空間や、何気ない通りにこそ「人との交わり」「心落ち着く風景」「想いを重ねた記憶」がある。
新たな場所として生まれ変わっても、誰でも寄り道ができ、歩きたくなるような空間を残せたら。そのような想いからの出発。
街の情景を残すために
開港、原爆、復興、再開発と歴史を紡ぎ、「かたちをかえてきた」長崎。紡がれてきた時を街に残しながら、新たな「かたち」へと再生するために。木の樹洞「うろ」とは、樹木の幹や太い枝にできた洞窟上の空間のこと。樹皮がはがれたり、キツツキなどが巣穴をほったりすることでできた空間で、様々な生き物の棲家になっている。もともとあった建物をそのまま残しつつ、最小限に手を加えることで街に溶け込みながら、新たな時と人が交わる場作りを目指す。入り組んだ路地や、小さな空間に人々の交流や営みがある長崎の街。その情景を木の樹洞と捉え、街にいることを忘れる、静かな滞在空間を宿す。







